アルビノの日本人で40歳…どこでまちがえたんだろう?

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最近ではトークイベントなどに登壇させてもらうと、自然とメディア批判みたいなコメントが口をついて出てしまう。
表現者なんてメディアに取り上げていただいてこそ存在価値があるんだから、求められるがまま応じて、アルビノとして産まれ生きてきたこれまでを、苦しく悲しく語るべきなのかも知れない。

…いや、そうして僕が心にもない嘘をついて被りたくもない可哀想キャラを演じて名をあげたとしても、僕のタレント生命が続かないし「あの頃は売れたくてつい可哀想キャラを演じてまして…てへ☆」で許されるようなものでもないので、まちがいではないだろう。

そんなことより、声優系コンテンツの制作会社でイベント制作や動画番組制作を辛抱強く続けていれば、自分の番組を自分の大好きな仲間と一緒に作って楽しく暮らしていたのだろうか。
…いや、あの会社はそんな仲間がいるような場所でもなかったし、心を殺して仕事を続けていたら僕のことだ、もっとヤバい闇に堕ちて表現活動どころじゃなくなっていただろう。

それよりはもっと前に、ライブアイドルのマネジャーに就くからと、それまで大変お世話になったNPO法人マイフェイス・マイスタイルを離れてしまったのが悔いるべきポイントだったようにも思える。
「見た目問題」解決のために今も精力的に講演活動などを展開しているあのチームに居続けていれば、いま頃は僕も講演会で日本各地を回ったり、思いをすべて刻み込んだような書籍を出版したり、テレビにもお呼びいただいて、コメンテーターとかもさせてもらえてて、でも根っこはエンタメ大好きなので、少しバラエティにも出させてもらえたらな〜なんて思ったり…。

いや、思い返してみればMFMSを離れる時には「進みたい方向性が違うみたい」という話し合いもしたっけ。
僕はあくまでもエンタメ志向で「考え方や生き方を知恵や工夫で変化させて“自分らしい顔で自分らしい生き方をしていこう!”というスタンスは変えられなかった。
けれどMFMSはあの頃から「当事者たちが“自分らしい顔で自分らしい生き方ができる社会の実現”を目指す」ことに本腰を入れて、いまの活躍までに至ったわけで。
ぞれぞれの方向性で進むべくして進んだからいまがあるんだ。決して悪くない。

だとすると大学卒業の頃、新卒採用に軒並み落ちて、どこにも行き場がないと思った時。
「自分はそれでも表現者として生き抜いていきたい」と、近くにいた同じく表現者としての活躍を目指す声優と役者に声をかけてユニットを組み、Podcastラジオを配信したり小さなステージに立ったりしている場合ではなかったかもしれない。
とにかく「仕事に就くことを最優先」にして、大学時代に掴めなかったマスコミ系やエンタメ系をキッパリ諦めて、アルビノの日本人として一般社会の中で生きづらさを感じながら、普通の会社員として不満を抱えながら働き生き続けていれば良かったのだろうか。

…いやだとしたら完全に、僕は何も面白味を感じること無く、相当早い段階で人生そのものに嫌気が差していた気がするし。
いま残すことが出来てきた「アルビノで幸せに生きる日本人」という存在がこの世に無かったと想うと、あの段階でも「普通の」「ちゃんとした」存在になれない自分の不甲斐なさを痛感しながらも、こだわりを通して希望を捨てなかったのは強かったとも思える。

ともすれば高校受験の時。日芸に進学することを第一に日大の正附属校として選んだあの男子校へ入学したのが大間違いだったのは確実にありそうだ。
男子しかいない特殊な環境での高校3年間で、思春期のその時期に学んでおくべき尊い心を育みそびれたんだと思う。人との関わり方がイマイチ上手くない現状を招いた原因は、あの薄暗い高校生活に他ならない。

けれど、あそこに入っていなければ日芸にすんなり進めていない可能性が高いのも事実。
また、放送部でラジオの基礎のようなものを覚えたり、男子校ならではの理不尽さや根性論も目の当たりにして、ある意味反面教師で、逆説的に「女子(女性)と共に生きる一般世界への憧れ」を抱けたのも事実。

でもやっぱり男子校じゃなく共学であったなら、こんな風に拗れていなかったはずだし、感情も人間関係ももっと豊かであれたはずだし、こんなに孤独に陥ることばかりの人生ではなかったはず。

それでいうと小中学校も、特別支援学級ではなく地元の普通学級で過ごしたことは良かったことだと信じられる。
確かに、視力が弱くて色々と苦労したり、日焼けをしては心配と迷惑をかけたり、知識とケア機能が充分ではない普通学級での学校生活は「正解だ」と言い切ることは難しい。
けれどそのかわりに、周りの「普通の子たち」と「みんなと違う自分」を常に実感し続け、その、いわば大きな社会の中で生きる自分自身について考え続けられたことは、振り返っても僕にとっては本当に良かったことだと思っている。

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